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第26回ガラス工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

茨城県かすみがうら市を拠点に、あらゆる建物のガラス工事を手掛けている

株式会社磯部硝子、更新担当の富山です。

 

 

 

 

省エネ建築とガラス工事

ZEH・ZEB時代に、なぜ断熱・遮熱ガラスが最重要なのか

「省エネ建築」と聞くと、太陽光発電や高効率エアコンを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろんそれらも重要ですが、実は建物の快適性とエネルギー性能を左右する“土台”は、外皮性能(建物の皮)です。
そして外皮の中でも、熱の出入りに大きく影響するのが窓=ガラス
です。

ZEH(ゼロエネルギーハウス)やZEB(ゼロエネルギービル)では、設備だけを高性能化しても十分ではありません。
冷暖房のムダを減らすには、最初に「熱を入れない・逃がさない」設計が必要です。
本記事では、断熱・遮熱ガラスの役割、選定のポイント、施工時の注意点まで、実務目線でわかりやすく解説します。


1. なぜガラスが省エネの鍵になるのか

壁や屋根に比べると、窓は熱が出入りしやすい部位です。
冬は室内の暖かさが窓から逃げ、夏は日射熱が窓から入り込みます。
つまり、ガラス性能が低いと、冷暖房設備がいくら高効率でも“穴の空いたバケツ”状態になってしまいます。

特にZEH・ZEBでは、一次エネルギー消費量を抑えるため、

  • 冷暖房負荷の削減

  • 室温の安定化

  • 設備容量の最適化
    が重要です。
    このとき、断熱・遮熱ガラスは「後から足す設備」ではなく、最初に性能を決める建材になります。


2. ZEH・ZEBの基本とガラスの関係

ZEH(住宅)

住宅で使うエネルギーを、断熱強化・高効率設備・創エネで実質ゼロに近づける考え方です。
住まいでは、冬の暖房負荷と夏の日射対策が暮らしの快適性に直結するため、窓性能が体感差を生みます。

ZEB(非住宅)

オフィスや商業施設などで、年間の一次エネルギー消費量を大幅に削減し、ゼロを目指す考え方です。
非住宅はガラス面積が大きい建物が多く、窓からの熱取得・熱損失・眩しさ対策が運用コストに強く影響します。

共通点は、どちらも「設備機器の性能」だけでなく、外皮性能の設計精度が成功のカギになることです。


3. 断熱ガラスと遮熱ガラスの違い

省エネガラスを語るとき、まず整理したいのがこの2つです。

断熱ガラス(熱を逃がしにくい)

主に冬の暖房効率向上に有効。
室内の熱が外へ逃げるのを抑え、コールドドラフト(窓際の冷気感)を軽減します。

遮熱ガラス(日射熱を入りにくくする)

主に夏の冷房効率向上に有効。
日差しによる室温上昇を抑え、空調負荷を軽減します。

実務では、地域・方位・用途に応じて「断熱重視」「遮熱重視」を使い分けます。
寒冷地と温暖地、北面と西面で最適解が異なる点が重要です。


4. Low-E複層ガラスが主流な理由

現在の省エネ建築でよく採用されるのが、Low-E膜を使った複層ガラスです。
複数枚のガラスと中空層で断熱性を高め、Low-E膜で放射熱の出入りをコントロールします。

主なメリットは次の通りです。

  • 冷暖房効率の向上

  • 結露リスクの低減

  • 室温ムラの緩和

  • 快適性向上(窓際の不快感軽減)

ただし「Low-Eなら何でも同じ」ではありません。
日射取得型・日射遮蔽型などタイプ差があり、建物条件に合わせた選定が必要です。


5. 方位別に考えるガラス選定の基本

ガラス選定で失敗しないために、方位の考え方は非常に重要です。

  • 南面:冬の日射を活かすか、夏の日射を抑えるかを庇計画とセットで検討

  • 西面:西日対策が最優先。遮熱寄りの検討が有効

  • 東面:朝日による温度上昇・眩しさに配慮

  • 北面:日射取得より断熱性重視になりやすい

同じ建物でも面ごとに条件は異なるため、全方位同一仕様が最適とは限りません。


6. ガラス工事で見落とされやすい施工ポイント

高性能ガラスを選んでも、施工品質が伴わなければ性能を発揮しにくくなります。
現場で特に重要なのは次の項目です。

  1. サッシとの取り合い精度

  2. シーリング施工の品質

  3. 枠まわりの気密・防水処理

  4. 搬入・建て込み時の傷防止

  5. 施工後検査(歪み・漏水・結露リスク確認)

省エネ性能は“カタログ値”だけでなく、納まり品質で実効値が変わります。


7. 省エネと快適性を両立するための実務視点

ガラス選定は省エネだけでなく、利用者の体感品質にも関係します。

  • 夏の暑さ感・冬の冷え感

  • 眩しさ(グレア)

  • 外の見え方・室内の明るさ

  • 結露による衛生・メンテナンス性

つまり、設計段階で「熱」「光」「視環境」を一体で考えることが重要です。
設備設計・意匠設計・施工管理が分断されると、どこかで無理が出ます。
ガラス工事は、その橋渡しを担う重要工程でもあります。


8. よくある失敗例

失敗1:価格優先で性能を下げる

初期費用は抑えられても、運用時の光熱費増で長期的に不利になる場合があります。

失敗2:方位を無視して一律仕様

西面の暑熱、北面の寒さなど、部位ごとの課題が残りやすくなります。

失敗3:ガラスだけで全て解決しようとする

庇・ブラインド・換気・空調制御との連携がないと、期待性能に届きません。


9. まとめ

ZEH・ZEB時代のガラス工事は、単なる開口部工事ではありません。
建物のエネルギー性能、快適性、運用コスト、そして資産価値に直結する“戦略工事”です。

  • 断熱ガラス:熱を逃がしにくくする

  • 遮熱ガラス:日射熱を入りにくくする

  • 方位・用途・地域で最適解は変わる

  • 施工品質が実性能を左右する

この基本を押さえるだけで、設計・施工・運用の精度は大きく向上します。
省エネ建築を成功させる第一歩として、ぜひガラス計画を「仕様選び」ではなく「建物性能設計」として捉えてみてください。

次回もお楽しみに!

 

 

 

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